食器プロPlusキッズ!コラム
食器選び
何を基準に選べばいいの?
どれがいいのでしょう?食器・食具選びのあれこれ
食器の選択には子どもの成長と発達段階を考慮することが大切ですが、実際に保育所で使用する食器・食具選択の基準はどう考えたらいいのでしょう?
この問いには先に述べた「食育」の視点をどのようにその施設にて保育の中に位置付けて運営されていくのかによっても選択は異なります。食器・食具も経費です。そして消耗品です。買い替えが必要になった際にも一度、保育の一環としての食育をどう考えていくかをスタッフの皆様で検討していただくいい機会となります。
一番大切にしたいものは?
現場の声を聞いているとイラストのようなことを聞くことが多いですが、どれも大切な視点であると思います。とはいえ、例えば「器は割れるもの。だからこそ大切に扱おう」とすれば、陶器や地域とのつながりや伝統を体験する上で、地元の窯で作られたものなどを選択することもあるでしょう。かたや、落として怪我させる可能性が高いかもしれないという安全面での視点が重視されるのであれば、選択は逆になりますね。
食育の実践の場として
今まで以上に保育所での給食が「食育の実践の場」であるというように保育所指針なども変わってきています。保育の一環として食育を実践する大切さへの背景には、乳幼児を取り巻く生活環境において起こる食問題への解決の場としての機会づくりが大切だからです。これらの食問題をあげる際には「こしょく」という言葉がよく使われます。「一人で食べることを指す孤食」や「偏った食事ばかりを摂る」、「(好き嫌いが多く)同じものばかりを食べる」などが挙げられます。日々の給食時間はお友達や先生と一緒に楽しみながら過ごし安らぎを感じる時間です。食べることにまつわる様々な環境の整備こそがこれら食問題の解決につながります。
一人でも多くの子どもたちが「食べることって楽しいね」とお話ししてくれるようになることを期待してなりません。「器を磨く」という例えがありますが、まさに給食で食べる器を上手に選ぶことも子どもたちの成長と発達に大きな意味がありそうですね。
筆者紹介
隅弘子(子どもの食の専門家/mamaful代表)
一般社団法人日本こども成育協会食専科ディレクター
一般社団法人母子栄養協会幼児食/学童食/妊産婦食アドバイザー認定講師/管理栄養士
子育て中の母子を食からの視点で支援することを目的に「mamaful」として活動開始。子育て支援施設内での食事相談や離乳食・幼児食教室をはじめ、子育て支援ボランティア養成研修・専門学校講師などを務める。栄養学に発達心理などを組み合わせ、「食べる楽しさ」や「げんきを作る食べ方」を伝える活動を得意としている。